長崎の世界遺産「潜伏キリシタン関連遺産」を巡る旅 2018年9月

『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』

禁教時代に密かに信仰を継続した潜伏キリシタンの伝統と
離島のキリシタン集落の終焉

 文化遺産・2018年登録 

江戸時代に信仰を禁じられたキリスト教徒。
表向きは仏教徒として一般社会と共生しながら信仰を続けてきた「潜伏キリシタン」。
また、信仰を継続するために離島に移住したキリシタン集落。
禁教時代の独自の発展と弾圧、解禁後独自に発展した歴史の流れを体感できます。

今回は世界遺産登録直後に五島列島の3ヶ所の世界遺産と長崎の大浦天主堂を巡りました。
教科書やガイドブックなどで知っていたつもりのキリシタンの歴史。
いざ現地に行ってみて「潜伏キリシタン」と「隠れキリシタン」が別だと知り、
禁教令の下、隠れて信仰し迫害を受けた歴史を目の当たりにしました。
世界遺産に登録され、教会を巡るツアーが充実したので、是非訪問してみて下さい。




頭ヶ島天主堂

「頭ヶ島の集落」


病人の療養地であった
頭ヶ島(かしらがしま)に
仏教徒に扮して
入植したのが始まり





潜伏キリシタンが増えた
この集落にも
キリシタン弾圧
「五島崩れ」が起き
一時島民が全員避難した





禁教令が解かれた後に
徐々に島民が戻り
木造の教会が建てられた後

1919年に
珍しい石造りの
教会が建てられた





上五島出身の建築家
鉄川与助の設計で
目の前にあるロクロ島から
切り出された砂岩は
番号を振って
島民自らが船で運んだ





厚さ30cmの石が
重厚感を醸し出し
どこにも無い
独特の雰囲気の教会





教会内部は撮影禁止

船底のような折り上げ天井に
至るところに
椿の模様があしらわれ
「花の御堂」と
呼ばれている





集落の端にあるキリシタン墓地

現在は16戸の小さな集落だが
過去の弾圧による殉職者も
ここに眠っているため
集落の割りに墓地が広い





頭ヶ島の集落へのアクセスは
シャトルバスのみ

現在は使われていない
上五島空港が
インフォメーションセンター
となっており
ここから定期的に
シャトルバスが発着している





見学は事前予約が必要

観光タクシーやツアーの場合は
代行してもらえるが
1日の入場者数に
制限があるので
繁忙期は
事前に予約しておくのがベスト


頭ヶ島天主堂の事前見学予約はこちらから
(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
インフォメーションセンター)





この上五島空港のおかげで
中通島との間に橋が架かり
渡船しか無かった
アクセスが改善されたが
滑走路が800mと短いため
小型機しか就航できず
ジェットフォイル(高速船)の
就航により利用者が激減

2006年に25年の
短い定期便営業を終えている








旧五輪教会堂

「久賀島の集落」





五島列島で一番大きな
福江島の北

馬蹄形の久賀島
(ひさかじま)にある教会


現在でも道路は無く
五輪地区に行くには
船か徒歩のみ


余談ですが
五輪真弓さんのご実家がここにあります






車は500m程離れた山中まで
そこまでも狭い
未舗装路なので
タクシーでの移動が必須

レンタカーもありますが
再度ここまで
戻る必要あり






山道を15分ほど下ると
急に視界が開けて
新旧2つの五輪教会が
姿を現す





新五輪教会が完成して
旧五輪教会は取り壊される
予定であったが
五島市が譲り受け保存している





1881年に浜脇教会として建てられ
1931年にこの地に移築された
木造瓦葺きの歴史ある教会





教会として使用していないため
内部撮影が可能


特徴となるリブ・ヴォールト(こうもり傘)天井があり
初期の木造教会として貴重な存在






窓は教会らしい形をしているが
扉は観音開きでは無く
一般家庭と同じ引き戸

窓の外には透明度抜群な海が広がります



旧五輪教会堂の事前見学予約はこちらから
(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
インフォメーションセンター)





便利な交通手段は海上タクシー
個人で手配すると高額なので
海上タクシーで巡るツアーがオススメ

世界遺産がある隣の奈留島へも乗換無しで行けます







江上天主堂

「奈留島の江上集落」





五島列島の中央部
下五島の最北部の
「奈留島」にある教会


クリーム色の壁と
水色の窓枠が特徴的


内部は撮影禁止だが
リブ・ヴォールト天井を
備えた3廊式で
19世紀以降の木造教会では
最も整った構造とされている





禁教令が解かれたあと
暴風と高波から守るため
高台を切り開いて造成






森に囲まれているため
湿気が多く
床を高くして
通気を良くするために
日本古来の床組み
「床束(ゆかづか)」が
用いられている





軒裏の通風口も
湿気を逃すためだが
形を工夫して
装飾にもなっている



江上天主堂の事前見学予約はこちらから
(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
インフォメーションセンター)







大浦天主堂

「信徒発見の舞台」





長崎市の中心部
有名な観光スポット
「大浦天主堂」も
世界文化遺産構成資産のひとつ


現存する日本最古の教会で
出島で働く外国人のために
外国人居留区に建てられた
ゴシック調の教会





1865年の落慶式直後
潜伏キリシタンが
宣教師に自らの信仰を告白する
「信徒発見」と呼ばれる
歴史的事件が起きた


その後相次いで
潜伏キリシタンが
大浦天主堂を訪れたが

まだ禁教令が
解かれていなかったため
1867年に大規模な
キリシタン弾圧が発生

宣教師らが
諸外国の領事に掛け合い
世界中に拷問の
事実を広めたため
1873年に禁教令が
解かれることとなった





教会内部は撮影禁止
ステンドグラスの中には
100年以上の歴史ある物も存在します


天主堂と共に
世界遺産構成資産となった

旧羅典神学校
旧長崎大司教館は
キリシタン博物館として
公開されています




大浦天主堂の事前見学予約は不要です
受付で入場料を支払い見学して下さい








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